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Lecture · 老化と健康
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顔は嘘をつかない?
AIが見抜く「老化の速さ」と職業の話
Király, Fejes, Kerepesi (2025) bioRxiv
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問い
同窓会で会う同級生。
「若く見える人」と「老けて見える人」。
本当に「年齢」が違うのかも?
同じ20歳、同じ50歳でも、体の中の老化スピードは違うかもしれない。
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「歳の取り方」には2種類ある
暦年齢 と 生物学的年齢
📅暦年齢
カレンダーで決まる。
誕生日が来れば+1歳。
みんな同じスピード。
🧬生物学的年齢
体の中の「老化具合」。
運動・睡眠・遺伝で変わる。
個人差が大きい。
この研究で扱うのは 生物学的年齢 のほう。
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これまでの測定方法
生物学的年齢を測るには?
- DNAメチル化(エピジェネティック・クロック)— 最も精度が高い
- 血液検査のバイオマーカー
- 脳のMRIから脳年齢を推定
でも、課題がある
高い1サンプル数万円〜遅い結果まで数日特殊研究機関でしか測れない
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研究のアイデア
スマホの自撮りで
できないかな?
顔写真は:誰でも撮れる、即時、安い、大量にある。
もしAIが顔から「生物学的年齢」を当てられるなら?
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研究方法
有名人の顔写真44万枚でAIを訓練
IMDB と Wikipedia から自動収集した「年齢付き顔写真データセット」を使用。
AIに「写真→年齢」を学習させた。
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結果 ①
「加齢加速」という概念
同じ実年齢でも、加齢加速には大きな個人差があった。
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結果 ②
老けて見える人ほど、早死リスクが高い
顔の加齢加速が +1歳 増えるごとに、
その後の死亡リスクが約 0.8% 増加。
※ 45歳以上を対象 / Cox比例ハザード分析 / p < 0.001
つまり、「見た目が老けて見える」というのは単なる印象ではなく、
体の中で実際に何かが起きている可能性が高い。
注:若い人(45歳未満)では関連が見られなかった。
若いうちは生活習慣の改善でまだ巻き返せる、と著者らは推測している。
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結果 ③
そして、
職業によって
大きな差があった。
スポーツ選手、芸術家、研究者、ビジネス…
それぞれの職業で、加齢加速のスピードが違った。
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じゃあ、みんなで予想
どんな職業が
若く見えたと思う?
📱 スマホで予想に参加
https://aging-jobs-quiz.pages.dev/student.html?room=...
room: -
→ 30個の職業から「若く見える上位5個」「ふけて見える下位5個」を選んでね
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⏳
予想中…
教員ダッシュボードで、みんなの回答状況を見てみよう。
全員提出後、教員が「正解を公開」 → スマホ画面が答え合わせに切り替わる
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答え合わせ
📚 研究で分かった「老ける順」
🏆 若く見える上位5位
- 1🏸バドミントン選手
- 2🏓卓球選手
- 3🏐バレーボール選手
- 4⚽サッカー選手
- 5🏀バスケットボール選手
💀 ふけて見える下位5位
- 26🤔哲学者
- 27📝編集者
- 28📜歴史家
- 29💰金融家
- 30📑文芸評論家
スポーツ選手が圧倒的に若く見えた。文芸・学術系が老けて見えた。
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考察 ①
なぜスポーツ選手は若く見える?
運動が老化を遅らせる、は別の研究でも確認済み
- エピジェネティックな研究:定期的な運動で DNA メチル化年齢が遅れる
- 同じ著者ら:ハンガリーのアスリートは血液テスト年齢も若かった
- 運動 → 免疫・心血管・脳・筋肉、全部に良い影響
+ 規則正しい生活
体型管理、十分な睡眠、節制された生活習慣 — プロ選手の必須条件。
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考察 ②
なぜ文芸・学者は老けて見える?
長時間の集中・座位中心の仕事
- 原稿執筆、研究、長時間PCに向かう
- 慢性的なストレス、運動不足
- 「健康」より「成果」が優先されがち
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考察 ③ ― ただし注意
「有名人」サンプルだから出た結果
一般人の調査だと結果は違うかも
他の研究:一般人では「低収入の肉体労働」が最も老けやすかった(清掃員・工場労働者など)。
でも、IMDB・Wikipedia に載るような「有名人」の中には:
- 低収入の人 = 多くは「高学歴の文芸関係者」
- 低学歴の人 = 多くは「高収入のスポーツ選手・芸能人」
→ サンプルが偏っているので、「文芸・学者が老ける」は「有名人の中で」という限定条件付き。
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何が言えるのか
老化スピードは、変えられるかもしれない
- 運動は、見た目年齢を最も若くする要素のひとつ
- 顔写真AIなら、誰でもスマホで自分の老化スピードをチェックできる時代が近い
- 「見た目」は単なる印象じゃない。健康のサインになり得る
若いうちの生活習慣が、10年後・20年後の「顔」をつくる。
― この研究の含意
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まとめ
今日の3つの持ち帰り
- 顔写真AIで 「生物学的年齢」を低コストで推定できる
- 老けて見える中年は、その後の死亡リスクが高い(45歳以上)
- 職業ごとに大きな差。スポーツが最も若く、文系学者が最も老けて見えた(有名人サンプルでの話)
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