A Study in Aging
顔は嘘をつかない。
AI が見抜く「老化の速さ」と、職業のはなし
+
2025 bioRxiv
Király · Fejes · Kerepesi
問い
同窓会で会う同級生。
若く見える人と、老けて見える人。
その差はどこから来るのだろう?
同じ20歳、同じ50歳でも、体の中の老化スピードは
人によって違うのかもしれない。
「歳の取り方」には2種類ある
暦年齢と、生物学的年齢。
i
暦年齢 / Chronological Age
カレンダーが決める数字。誕生日が来れば一律に +1。全員、同じスピード。
ii
生物学的年齢 / Biological Age
体の中の老化具合。運動・睡眠・遺伝・ストレスで変わる。個人差が大きい。
この研究で扱うのは、生物学的年齢のほう
これまでの測定方法
生物学的年齢を測るには?
- DNAメチル化(エピジェネティック・クロック)最も精度が高い。Horvath 2013 以降の主流。
- 血液検査のバイオマーカー炎症・代謝指標から推定。
- 脳MRI で脳年齢を推定構造変化から年齢推定。
しかし、課題がある。
1サンプル数万円、結果まで数日、研究機関の特殊機材が必要 ―
「日常」には遠い。
研究のアイデア
自撮りで、
できないか?
顔写真は誰でも撮れる。即時、安価、データは無尽蔵。
もし AI が顔から生物学的年齢を当てられるなら ―
研究方法
有名人の顔写真 44万枚 で
AI を訓練した。
IMDB と Wikipedia から自動収集した「年齢付き顔写真データセット」を使用。
AI に「写真 → 年齢」を学習させた。テストではMAE 6.4 〜 7.4 歳の精度を達成。
結果 ①
「加齢加速」という概念。
加齢加速 = AI が見た年齢 − 本当の年齢
同じ実年齢でも、加齢加速には大きな個人差があった。
結果 ②
老けて見える人ほど、
早死リスクが高い。
顔の加齢加速が +1歳 増えるごとに、
その後の死亡リスクは約 0.8% 増加。
Cox 比例ハザード分析 · 45歳以上 · p < 0.001
「見た目が老けて見える」というのは、単なる印象ではない。
体の中で何かが実際に起きている可能性が高い。
注:若い人(45歳未満)では関連が見られなかった。
若いうちは生活習慣の改善でまだ巻き返せる、と著者らは推測している。
結果 ③
そして、
職業によって
大きな差があった。
スポーツ選手、芸術家、研究者、ビジネス ―
それぞれの職業で、加齢加速のスピードは違った。
じゃあ、みんなで予想
どんな職業が、
最も若く見えたと思う?
スマホで予想に参加
https://aging-jobs-quiz.pages.dev/student.html?room=...
room: -
30個の職業から「若く見える上位5個」
「ふけて見える下位5個」を選んでね
⚠️ URL の room が ssu-aging-2026spring と異なります
予想中
みんなのスマホから、
回答が集まっています。
教員ダッシュボードで集計をリアルタイム確認
答え合わせ
研究で分かった、
顔写真ベースの「老ける順」。
若く見える / Top 5
- 🏸バドミントン選手
- 🏓卓球選手
- 🏐バレーボール選手
- ⚽サッカー選手
- 🏀バスケットボール選手
ふけて見える / Bottom 5
- 🤔哲学者
- 📝編集者
- 📜歴史家
- 💰金融家
- 📑文芸評論家
スポーツ選手が圧倒的に若く見え、文芸・学術系が老けて見えた。
考察 ①
なぜスポーツ選手は
若く見えるのか?
運動が老化を遅らせる、は別の研究でも確認済み。
- エピジェネティックな研究:定期的な運動で DNA メチル化年齢が遅れる(Quach 2017)
- 同じ著者ら:ハンガリーのアスリートは血液テスト年齢も若かった(Juhász 2024)
- 運動の効能は、免疫・心血管・脳・筋肉、全方位
+規則正しい生活。
体型管理、十分な睡眠、節制された生活習慣 ― プロ選手の必須条件。
考察 ②
なぜ文芸・学者は
老けて見えるのか?
長時間の集中、座位中心の仕事。
- 原稿執筆・研究・長時間 PC に向かう
- 慢性的なストレス、運動不足
- 「健康」より「成果」が優先されがち
考察 ③ ― ただし注意
「有名人」サンプルだから
出た結果かもしれない。
一般人の調査だと結果は違う。
他の研究では、一般人では「低収入の肉体労働」が最も老けやすい(清掃員、工場労働者など)。
しかし、IMDB・Wikipedia に載るような「有名人」の中には:
- 低収入の人 = 多くは「高学歴の文芸関係者」
- 低学歴の人 = 多くは「高収入のスポーツ選手・芸能人」
サンプルが偏っているので、「文芸・学者が老ける」は
「有名人の中で」という限定条件付き。
何が言えるのか
老化スピードは、
変えられるかもしれない。
- 運動は、見た目年齢を最も若くする要素のひとつ
- スマホの自撮りで老化チェックできる時代が近い
- 「見た目」は単なる印象じゃない ― 健康のサインになり得る
若いうちの生活習慣が、
10年後・20年後の「顔」をつくる。
この研究の含意
今日のまとめ
3 つの持ち帰り。
- 顔写真AIで「生物学的年齢」を低コストで推定できる
- 中年以降、老けて見える人ほど死亡リスクが高い
- スポーツ選手が最も若く、文系学者が最も老けて見えた(有名人サンプルでの話)
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